第17話 「女ですもの、オシャレだって楽しみたいわ(ハート)」
どうも、僕です。
4月も中盤に入り、だいぶ吹奏楽部にも学生生活にも慣れてきました。
ただもう来月後半には初めての中間試験があり、再来月には定期演奏会・・・うかうかしてられません。
定期演奏会の曲は、楽譜が用意できているものに関しては練習し始めています。
頑張って足を引っ張らないように、いい演奏をしたいです。
しかし、定期演奏会はお客さんを呼んで行うものです(注1)。
吹奏楽を詳しく知らない方々も楽しめるように、「視覚」の演出が必要です。
ステージ装飾であったり、衣装であったり、パフォーマンスであったり・・・。
「・・・ということなので明日までに2部の衣装のアイディアをパートごとにまとめて案を出してください。よろしくお願いします」
演出係の先輩が帰りのミーティングでそう言いました。
ミーティングが終わると各パートごとにワラワラと自然に集まっていき、僕も誰に言われるでもなくパートリーダーのシオさんの所に向かいました。
「んー、なんか微妙に難しいんだけど、アイディアない?」
確かにシオさんの言うとおり難しい。
今年の2部のテーマは太河ドラマのメインテーマ。
つまり一番みんなが真っ先に頭に思い描くのは、重そうな甲冑や、十二単。
でもそんな費用どっから出るねん!ってことで、若干難しい。
「やっぱ、着物とかしか浮かばないよねぇ・・・」
とミズホさんが苦笑いしながら言い、みんなを見回しました。
「ぃや~ん、ミズホさんの着物姿、見たいっす~
」
デレデレした表情でカナさんが話を続けます。
「ミズホさんスタイルいいから何でも似合いますよ~。てかペットパートの女子はみんな細いから、みんなかわいいと思いますよ!ユリとか、お尻から脚にかけてのラインがたぁ~まんねぇ~から、太もも出した感じのとかさ・・・」
「なんで定演で太もも出さなきゃなんないんすか!短い着物着る必要性が無いでしょ!」
「見たい人はいっぱいいるだろーが!」
「居るわけないでしょ!だれっすか!?」
「・・・んー、たとえばレイジ・・・とか?」
「とか?じゃねぇーーー!」
と僕が横槍。
なぜかユリは僕の方を見て「・・・うゎ・・・」とつぶやきながらドン引き。
「あー、じゃあレイジがバ○殿やってさ、ユリの腰の帯を引っ張って、「良いではないかごっこ」は?ユリがノリノリで「あ~れ~~~」って言ったりとか・・・?」
「とか・・・?じゃねぇーーー!」
今度は僕とユリのステレオ。
声が合わさった瞬間ユリと目が合い、顔を真っ赤にしてプイッと向こうを向いてしまいました。
カナさんは向こうで「ホントに仲いいのぅ~」とナツキさんに耳打ち。
ナツキさんは苦笑い。
ミズホさんも苦笑い。
シオさんは表情を引き攣らせながら・・・
「そ・・・そろそろ先進んでもいいかなぁ・・・?」
シオさんの表情を見た僕とユリとカナさんは無言で正座しました。
な・・・なんだこの威圧感は・・・。
「んと、やっぱりプリントTシャツが無難だと思います。なんかロゴをデザインして」
ナツキさんがなんとか空気を戻してくれました。
「そだよねぇ、それくらいしか正直ないよねぇ、お金もないし。・・・しっかし、まともに意見してくれる後輩がいて、おねーさんはよかったよ・・・」
ナツキさんの肩をポンッと叩いたシオさんの目は、心の汗が光っていました。
「でもロゴも難しいよねぇ?太河っぽくしたほうがいいかも知んないけど、そうすると色なんかも限られちゃうし、英語なんかも使いづらいね」
ミズホさんがつぶやくとカナさんが、
「えー?可愛い方がいいっすー!グレーとかネイビーとか地味ですー!漢字で「吹奏楽」とか毛筆で書いたっぽいロゴなんてイヤっすー!」
「え、でもそれ結構かっこ良くないっすか?」
珍しく僕が参加。
「やだー!別にかっこよさ求めてないー。カジュアル系やフェミニン系ー!」
「Tシャツでフェミニン系ってさらに難しいな、オイ!」
シオさんがツッコミ、あっさり却下。
「でも太河でフェミニン系は・・・いいのかなぁ?普通の感じのロゴみたいのが無難な気も・・・」
「ぶー、つまんないー!オシャレしたい年頃っすー!」
「でも結局太河っぽいものもフェミニンっぽいものも、Tシャツじゃ難しいよ。フェミニン系のプリントしても、安っぽくなっちゃうよ」
と、カナさんを諭すナツキさん。
その影で僕はユリに質問。
「なぁ、フェミニン系ってどんな感じの?」
「んー、フリルとかレース使った、ふんわりした感じの・・・かな?」
「ふーん、ふわふわ・・・ねぇ。ロリータファッションみたいなの?」
「いや・・・そこまでコッテリはしてないかな。こう、胸元のアクセントにフリルをつけたりとか・・・ロリータをかな~り薄めた感じの・・・」
「胸元・・・(チラッ)」
デュクシ・・・!
・・・
「あーあーあー!もう各々うるせー!特にカナー!」
「ひぃ!シオさん怒んないでくださいよ・・・って怒った顔も可愛いんですけどNE!」
呆れ顔のシオさん。
「っとまぁ、じゃあもうロゴプリントTシャツってことでいいか?」
「うぉ!スルーされた!」
他・・・はーい、いいでーす、うーっす、いいよ・・・。
カナさんに視線が集まる。
「ぶー・・・いいですよ。でも・・・Tシャツの色はカワイイ系がいいっす・・・」
「んー、太河吹いてるのにピンクとか・・・か?」
「えー、だって今やってるの(厚揚げ)だって姫の衣装はピンクですー!毒々しいピンクじゃなくて、淡いピンクなら全然大丈夫ですよ」
「まぁ大丈夫か」
おお、シオさんが結論を出そうとしている!
「お、俺もピンク着るんすか・・・?」
「もちろん!」
カナさんがニコニコととても爽やかな笑顔。
「男のピンクだって、全然大丈夫だよ!かわいいかわいい、レイジ似合うって!」
「う~ん・・・」
「似合うってば~!そりゃもう女子がほっとかないって!先輩が「レイジ君、カワイイ
」だの、同学年の娘が「レイジ、似合~う
」だの、モテモテだって!ユリなんかももう、「れ・・・レイジ、抱いて・・・」とかぁ?」
シメは5人で5.1サラウンド!
「とかぁ?じゃねぇーーーーーーーーー!!!!!!」
(注1)
ちなみにウチの定期演奏会は入場料は取りません。
地域のお店や企業様からいただくスポンサー料で活動資金をまかなっています。
スポンサー集め、結構大変なんですよ~。
あ、あと結局ペットパートとしての衣装の案は普通っぽいロゴのプリントTシャツ(ピンク)に収まりました。
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